東京地方裁判所 民事部 提訴

投資ブラザーズ
出資金返還等・損害賠償(名誉毀損)請求事件

提訴日 2026年8月10日 / 訴訟物の価額 金24,018,854円 / 手数料額 金95,000円
原告(選定当事者) 外山麻貴  原告 黒川敦彦
被告 山中裕(投資ブラザーズ合同会社 業務執行社員兼代表社員)ほか3名
集めた約4億円は、どこへ消えたのか。

投資ブラザーズ合同会社の業務執行社員が、出資者約60名から集めた約4億円を単独で支配し、契約書すら作成しないまま数億円規模で他社へ移動させ、その使途を一切開示しないまま返金を不能にした――。出資者らは、出資金の返還と、名誉毀損に対する損害賠償・投稿削除を求めて、東京地方裁判所に訴えを提起しました。本ページでは、その訴状の全文を掲載します(末尾に参考資料として公開質問状を併載)。

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主文書

訴  状

2026年8月10日 東京地方裁判所 民事部 御中
原告(選定当事者) 外山麻貴 ㊞ / 原告 黒川敦彦 ㊞
当事者の表示・選定者の表示 別紙当事者目録・選定者目録記載のとおり
出資金返還等・損害賠償(名誉毀損)請求事件 / 訴訟物の価額 金24,018,854円 / 手数料額 金95,000円

第1 事案の概要 ▲ 目次

1 本件は、合同会社の業務執行社員が、出資者から集めた約4億円の資金を単独で支配し、契約書すら作成しないまま数億円規模でこれを他社へ移動させ、その使途を一切開示しないまま出資者への返金を不能にした事案である。

2 被告山中裕は、投資ブラザーズ合同会社(以下「本会社」という。)の業務執行社員兼代表社員として、本会社の資金を単独で管理・運用していた。出資者はもとより、共同代表である原告黒川も、他の社員も、資金の所在と使途を知る手段を持たなかった。

3 被告山中は、出資者から資金を集めた当初から、本会社の資金を本会社の外へ移動させていた。とりわけ本会社から少数株ドットコムに対しては、契約書を作成しないまま資金を移動させている。対価の有無も、返済の約定も、移動の必要性も、いずれも明らかにされていない。

この資金移動は、返金が滞るようになってから始まったものではない。出資金の受入れが始まった当初から、継続的に行われていたものである。すなわち、資金繰りが悪化したためにやむを得ず資金を動かしたのではなく、資金が潤沢にあった時期から一貫して、出資者の資金が本会社の外へ流出し続けていたのである。

4 被告山中は、あわせて、出資者への返金に優先して、蓄電池事業、国外(ジョージア)事業、農業事業その他の新規事業に資金を投じた。原告らを批判する媒体の運営費まで本会社の資金から支出している。

5 その結果、被告山中は、2025年末時点で約8億円の資金を保有していたにもかかわらず、わずか半年後の2026年6月末には資金繰りが逼迫し、出資者約60名に対する返金は総額約2,000万円程度にとどまっている。集めた資金の約20分の1である。

6 しかも被告山中は、出資者すなわち社員に対し、決算書類その他の会計を一切開示していない。持分会社の社員は、営業時間内であればいつでも計算書類の閲覧又は謄写を請求することができる(会社法618条1項)にもかかわらず、である。被告山中は、自ら「決算関係につきましては、黒川敦彦氏及び朝霞市議会議員・外山まき氏による横領の疑いにより確定できておりません」と公言して、原告らに責任を転嫁したうえで開示を拒んでいる。

7 業務上自己の占有する他人の物を領得する行為は業務上横領罪(刑法253条)を構成し、他人のためにその事務を処理する者が任務に背く行為をして本人に財産上の損害を加える行為は背任罪(同法247条)を構成する。被告山中の上記各行為は、その客観的態様に照らし、これらの罪に該当する疑いが強いものといわざるを得ない。原告らは、本訴において被告山中の刑事責任を問うものではないが、上記の各事実は、被告山中の善管注意義務違反(会社法593条)及び不法行為(民法709条)の成否並びにその悪質性を判断するに当たり、看過し得ない事情である。

8 被告山中自身、自らの刑事責任が追及され得ることを認識していた。被告山中は、返金を求める出資者に対し、その出資金を自己の個人債務として引き受けるとする覚書に署名を求めたが、同覚書には「乙は、本覚書の締結に関連して生じたいかなる紛争、トラブル、債務不履行、または本件出資・債務引受に関する事項について、甲または会社に対し、刑事告訴、告発、被害届その他の刑事手続の申出を行わないことを合意する」との条項が置かれていた(覚書第5条第2項)。返金を求める被害者から、あらかじめ刑事手続に訴える権利を放棄させようとしたものである。

同覚書には、さらに、秘密保持義務違反1回につき300万円の違約金を課す条項が置かれ、裁判所への開示は「法令により開示を求められた場合」に限定されていた(第7条、第8条、第10条)。これを字義どおり適用すれば、署名した出資者が自らの権利を実現するために裁判所へ覚書を提出する行為それ自体が違約金の対象となる。被告山中は、刑事手続の道を閉ざしたうえ、民事訴訟の道までも封じようとしたものである。

9 他方で被告山中は、自ら運営するX上で、売却により利益が見込まれる資産として合計約14億2,720万円の保有資産を公表し、これを「順次売却を進めてまいります」と述べている。返金の原資が存在しないのではなく、返金に充てていないのである。そして当該資産は、被告山中自身の宣言のとおり、順次売却により散逸する危険にさらされている。

10 被告山中は、これらの責任を原告黒川一人に転嫁した。被告山中は、自ら本会社の代表として公式の声明を発し、原告黒川が会社資金を「私的に不正利用していた」と断定して2万3,000回以上閲覧されるに至らしめた。ところが同じ声明の中で「黒川氏本人は不正を否定し」「現在は事実関係の精査を行っております」と述べ、自ら事実が未確認であることを認めている。被告杉田勇人、被告山本武彦及び被告相川は、この責任転嫁に加担し、原告黒川を「横領」「稀代の詐欺師」と、原告外山を「横領の共犯」と断定する投稿を繰り返した。

11 よって原告らは、被告山中に対し出資金の返還及び損害賠償を、被告ら4名に対し名誉毀損による損害賠償及び投稿の削除を、それぞれ求める。

第2 請求の趣旨 ▲ 目次

1 被告山中裕は、原告(選定当事者)外山麻貴に対し、

  1. 金4,591,885円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
  2. 2026年9月30日限り、金6,466,969円及びこれに対する2026年10月1日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

2 被告らは、連帯して、

  1. 原告黒川敦彦に対し、金10,000,000円及びこれに対する2026年7月9日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を、
  2. 原告外山麻貴に対し、金3,000,000円及びこれに対する2026年7月9日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を、

それぞれ支払え。

3 被告らは、別紙投稿目録記載の各投稿を削除せよ。

4 訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決及び仮執行の宣言を求める。

第3 請求の原因 ▲ 目次

【第1章】当事者

1 原告(選定当事者)外山麻貴は、本会社の出資者すなわち有限責任社員であり、現職の埼玉県朝霞市議会議員である。同原告は、別紙選定者目録記載の3名(雨森一朗、澁谷健及び服部景子)から民事訴訟法30条1項により選定当事者として選定され、出資金返還等の請求について選定者らのために訴訟を追行する。あわせて、自己に対する名誉毀損については固有の原告として請求する。

2 原告黒川敦彦は、本会社の共同代表(業務執行社員兼代表社員)である。ただし本会社の資金を管理しておらず、本件では被害者かつ内部告発者の立場にある。第3章の名誉毀損の被害者である。

3 被告山中裕は、本会社の業務執行社員兼代表社員であり、本会社の資金を単独で管理・運用していた。現在海外に在住している。送達場所は第5章のとおりである。

4 被告杉田勇人、被告山本武彦及び被告相川(通称「250番」)は、いずれも被告山中の関係者であり、第4章の名誉毀損の直接の行為者である。なお被告相川については、氏名のうち名が判明していないため姓のみを表示する。同人は後記24のとおり通称「250番」として特定可能であり、送達場所も明らかである。名が判明し次第、速やかに補正する。

5 出資者ら約60名は、本会社との社員権取得契約により有限責任社員となり、総額約4億円を出資した。本会社は、出資者に対し、少数株事業の利益を分配するものと説明していた。もっとも、集められた資金が現実に少数株事業に投下されたか否か、また少数株の取得が本会社の名義で行われたか被告山中個人の名義で行われたかは、いずれも明らかにされていない。この点は前記7の会計の不開示と直接に関わるものであり、被告山中の釈明を求める。

なお、出資金の振込先口座の名義は「合同会社オリーブの木」であるが、これは本会社と同一の法人である。社員権取得契約書の「払込詳細」欄は、当社の指定する払込口座として「三菱UFJ銀行 麹町支店 普通預金 0322050 合同会社オリーブの木」と記載したうえ、「現在 口座名義は合同会社オリーブの木となっています。(投資ブラザーズに名義変更中です)」と明記している。すなわち本会社自身が、当該口座名義が本会社のものであることを契約書上明らかにしていたのである。本会社の定款13条3項も「当会社の指定する銀行口座に振込む方法により出資」と定めている。

あわせて同欄は「事務手数料10,000円(税込)を併せてお振込み下さい」と定めている。選定者澁谷の振込額310,000円は出資額300,000円に、選定者雨森の振込額5,000,000円は出資額4,990,000円に、それぞれ同手数料10,000円を加えた額である。

【第2章】被告山中による資金の単独支配、無断の移動及び会計の不開示

6 資金の単独支配

本会社の少数株事業は利益を計上していた。他方、本会社及び被告山中が支配する山中グループの資金は、被告山中が単独で管理・運用していた。原告黒川は共同代表であるが資金の管理には関与していない。出資者はもとより、他の社員も、資金の所在と使途を知る手段を持たなかった。

7 会計の不開示(会社法618条1項違反)

持分会社の社員は、当該持分会社の営業時間内は、いつでも、計算書類の閲覧又は謄写を請求することができる(会社法618条1項)。また、業務を執行しない社員は、いつでも会社の業務及び財産の状況を調査することができる(同法592条1項)。

しかるに被告山中は、出資者すなわち社員に対し、決算書類その他の会計を一切開示していない。それどころか被告山中は、2026年7月13日、自ら運営するXにおいて「決算関係につきましては、黒川敦彦氏及び朝霞市議会議員・外山まき氏による横領の疑いにより確定できておりません」と公言し、原告らに責任を転嫁したうえで開示を拒んでいる。

会計の不開示は、それ自体が会社法違反であるとともに、後記8以下の資金移動の実態を出資者から隠蔽する機能を果たしている。原告らは、本訴の進行に応じ、会計帳簿等につき文書提出命令の申立て(民事訴訟法221条)を行う予定である。

8 契約書を作成しない資金の移動

被告山中は、本会社から少数株ドットコムに対し、契約書を作成しないまま資金を移動させた。

この資金移動は、返金が滞るようになった2026年に始まったものではない。出資金の受入れが始まった当初から、継続的に行われていたものである。したがって、資金繰りの悪化に対応するためのやむを得ない措置であったという説明は成り立たない。資金が潤沢にあった時期から一貫して、出資者の資金が本会社の外へ流出し続けていたのである。

この移動については、次のいずれもが明らかにされていない。すなわち、(1)移動の法的性質(貸付か、出資か、業務委託の対価か)、(2)対価の有無及び額、(3)返済又は回収の約定、(4)移動の時期及び金額、(5)本会社の事業目的との関連性、(6)本会社にとっての必要性及び相当性である。

合同会社の業務執行社員が、会社の資金を他社へ移動させるに当たり、契約書すら作成せず、対価も回収の約定も定めないという処理は、通常の企業経営においておよそ考え難い。しかも被告山中は、本会社と少数株ドットコムの双方に関与しているのであるから、当該取引は業務執行社員と会社との利益が相反する取引に当たり、他の社員の過半数の承認を要する(会社法595条1項)。被告山中は、この承認を得ていない。

被告山中は、本訴において、当該資金移動の相手方、時期、金額、法的性質及び対価を具体的に釈明すべきである。

9 資金の急減

被告山中は、2025年末時点で約8億円の資金を保有していた。しかるに、わずか半年後の2026年6月末には資金繰りが逼迫し、出資者への返金は総額約2,000万円程度にとどまっている。集めた約4億円の約20分の1にすぎない。

この間に約8億円がどこへ消えたのかについて、被告山中は何ら説明していない。

10 その余の費消

被告山中は、前記8の資金移動のほか、次の各支出を行った。いずれも本会社の目的及び事業上の必要性を欠き、又は善管注意義務に反するものである。

  1. 特定の従業員・業務委託先に対し、業務実態に照らして不相当に高額な報酬・待遇(海外滞在への同行、高級住宅の居住費等を含む。)を本会社資金から負担した。
  2. 「マネー大学」等の新規事業に本会社資金を支出した。
  3. 出資者への返金に優先して、蓄電池事業、国外(ジョージア)事業、農業事業その他の新規事業に資金を投じた。
  4. 媒体「さくらフィナンシャルニュース」の運営・人件費等を本会社資金から負担した。同媒体は、2026年6月以降、本会社の社員である原告らを対象とする記事を集中的に発信している。

なお、社員権取得契約書に添付された確認事項の5項は、「お客様の出資した資金は、当社の目的を達成するために必要な人件費、家賃、水道光熱費、業務委託費、取引手数料、公租公課その他当会社運営上の諸経費にも充当されます」と定める。しかし同項が予定するのは、その文言のとおり「当社の目的を達成するために必要な」経費に限られる。前記(1)ないし(4)の各支出は、いずれも本会社の目的及び事業上の必要性を欠き、又は業務の実態に照らして著しく不相当に高額なものであって、同項の予定するところではない。とりわけ(4)は、本会社の社員である原告らを攻撃する媒体の運営費であって、「当社の目的を達成するために必要な」経費であり得ない。

とりわけ(4)は、本会社の事業とおよそ関係がない。本会社の資金によって運営される媒体が、本会社の社員である原告らを対象とする記事を発信するに至っているのであって、その不当性は明白である。

11 刑事責任に該当する疑い

業務上自己の占有する他人の物を領得する行為は業務上横領罪(刑法253条)を構成し、他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加える行為は背任罪(同法247条)を構成する。

被告山中は、本会社の業務執行社員として本会社の資金を業務上占有し、かつ本会社のためにその事務を処理する者であった。しかるに被告山中は、前記8のとおり契約書も対価の定めもないまま資金を他社へ移動させ、前記10のとおり本会社の事業と無関係の用途に資金を充て、前記7のとおり会計を一切開示していない。これらの客観的態様に照らせば、被告山中の各行為が業務上横領罪又は背任罪に該当する疑いは強いものといわざるを得ない。

原告らは、本訴において被告山中の刑事責任を問うものではない。しかし上記の各事実は、被告山中の善管注意義務違反(会社法593条)、忠実義務違反、任務懈怠(同法596条)、業務執行社員としての第三者に対する責任(同法597条)及び不法行為(民法709条)の成否並びにその悪質性を判断するに当たり、看過し得ない事情である。

12 被告山中自身が刑事責任の追及を封じようとしたこと

被告山中は、自らの行為が刑事責任を問われ得ることを認識していた。

被告山中は、返金を求める出資者に対し、その出資金を自己の個人債務として引き受けるとする「債務引受及び金銭消費貸借並びに秘密保持に関する覚書」に署名を求めた。同覚書第5条第2項は次のとおり定める。

乙は、本覚書の締結に関連して生じたいかなる紛争、トラブル、債務不履行、または本件出資・債務引受に関する事項について、甲または会社に対し、刑事告訴、告発、被害届その他の刑事手続の申出を行わないことを合意する。

返金を求める被害者から、あらかじめ刑事手続に訴える権利を放棄させようとしたものである。かかる条項は、国家の刑罰権の発動を求める権利を包括的に放棄させるものであって、公序良俗に反し無効である(民法90条)。同時に、被告山中が自らの刑事責任の追及を封じる必要を認識していたことを示す事情でもある。

さらに同覚書は、秘密保持義務違反1回につき300万円の違約金を課し(第7条、第10条)、裁判所への開示を「法令により開示を求められた場合」に限定している(第8条)。これを字義どおり適用すれば、署名した出資者が自らの権利を実現するために裁判所へ覚書を提出する行為それ自体が違約金の対象となる。これは裁判を受ける権利(憲法32条)を実質的に奪うものであって、同じく公序良俗に反し無効である。

被告山中は、刑事手続の道を閉ざしたうえ、民事訴訟の道までも封じようとしたものである。

13 被告自身が公表する保有資産(支払能力及び散逸の危険)

被告山中は、自ら運営するX上で、「売却により利益が見込まれる資産」として、A社6,000万円、B社9,000万円、C社720万円、D社1億2,000万円、E社1億5,000万円及びF社10億円、合計約14億2,720万円の資産を保有すると公表している。

すなわち、返金の原資が存在しないのではなく、返金に充てていないのである。他方で被告山中は同投稿において「順次売却を進めてまいります」と述べており、当該資産は被告山中自身の宣言のとおり散逸する危険にさらされている。原告らへの返金・配当は現に遅延しており、公表と実態は矛盾する。

14 偏頗的・恣意的な返金対応

被告山中及び事務局は、返金要求に対し人によって異なる対応をしている。すなわち、訴訟を示唆した者には全額、一部の者には数か月後の支払約束、覚書に署名した者には20パーセント、その余の多くの者には返金せず、という取扱いである。他方で被告らは「全員一律の対応しかできないため個別には返金できない」旨を述べて返金を拒んできたが、現に人により異なる対応をしている事実自体がこの弁解の虚偽を示す。

さらに、被告らは返金申請額の多寡によって対応を露骨に変えている。少額(選定者澁谷・出資30万円)の返金申請に対しては、事務局が即座に応じた。すなわち澁谷は2026年7月19日22時19分に返金を請求したところ、事務局は同月21日11時29分に「ご返金をご希望とのことで、承知いたしました。返金は2カ月後の末日となります」と回答したのである。同回答は、選定者澁谷に係る返金期日が2026年9月30日であることを書面上確定させるものでもある。これに対し、高額(選定者服部・出資100万円)の返金申請に対しては、同種の請求であるにもかかわらず、2026年7月14日、「解約を一旦保留とされる方がご利益になる」と述べて解約を思いとどまらせ、かつ「現時点では返金可能な現金が不足しております」と自認した。さらに同月28日には「解約自体はお受けいたしますが、黒川による取り付け騒ぎによる影響で、2か月後の末日にお戻し出来る資金がご用意出来ない場合がございます」と述べ、後記16の定款の猶予条項の援用を予告するとともに、支払不能を再度自白した。

少額なら直ちに応じ高額には現金不足を理由に難色を示すという対応の差は、被告らが返金原資に窮している事実と、金額に応じて恣意的に返金を選別している事実を端的に示す。

さらに本会社の事務局は、選定者雨森に対しても、次のとおり支払が困難である旨を繰り返し自認している。

  1. 2026年7月14日付メール 「皆様にご出資いただきました資金につきましては、現在すべて株式に転換されており、多数の方から同時に解約や即時返済のご要望をいただきますと、銀行の取り付け騒ぎと同様に、すぐにお返しすることが困難な状況となっております。」「現時点では返金可能な現金が不足しておりますため、株式が売却できた時点で順次お戻しする形となりますが、株式の流動性の観点から、具体的な売却時期や返金時期を確約することは難しい状況でございます。」
  2. 2026年7月16日付メール 「資金が潤沢の時に、お戻し出来ますが、今現在では黒川による取り付け騒ぎで、すぐにお戻しすることは出来ません。」

すなわち被告らは、遅くとも2026年7月14日の時点において、出資者への返金に充てる現金が存在しないことを自認していたのである。

なお前記(1)のメールは、同一の文書内において「事業自体は順調に推移しており、悲観されるべき事由は一切ございません」とも述べている。返金の原資が存在しないことを自認しながら、他方で何ら悲観すべき事由はないと述べるものであって、それ自体が矛盾している。かかる対応は、原資を有しながら恣意的に返金を選別していること、偏頗弁済として否認(破産法162条)又は詐害行為取消(民法424条の3)の対象となり得ること、及び善管注意義務(会社法593条)違反を基礎づける。

なお事務局は、選定者服部に対する2026年7月14日付メールにおいて、返金の取扱いにつき次のとおり述べている。

解約のご申請自体はお受けすることは可能でございますが、返金時期は原則として申請から2か月後の末日となります。また、返金の申請をされますと配当は停止いたします。

すなわち被告らは、返金を申請した出資者に対しては配当の支払を停止するという取扱いを、自ら明示している。返金の請求という正当な権利行使に対し、別個の権利である配当の停止という不利益を課すものである。

同メールはまた、次のとおり述べている。

もし黒川氏の発言を真に受けられ、一方的に裁判手続きをご検討される場合は、法定代理人が決まり次第、お知らせいただけますと幸いです。

出資者が訴えを提起するか否か、また何人を訴訟代理人に選任するかは、当該出資者の自由に属する事柄である。返金の交渉の相手方である被告らが、これをあらかじめ申告するよう求めることは、出資者の裁判を受ける権利(憲法32条)の行使を萎縮させるものにほかならない。

同メールは、さらに「黒川氏より『脅せば全額返済、黙っていれば20%、何も言わなければゼロ』といった内容の悪質な連絡が皆様のもとへ届いていることも承知しております」と述べたうえ、「脅さなければ返金されないといった内容をそのままお信じにならないようお願い申し上げます」と述べて、これを否認している。しかしながら、前記のとおり、被告らは現に、訴訟を示唆した者には全額を返金し、少額の申請には即座に応じ、高額の申請には難色を示し、覚書に署名した者には元本の20パーセントにとどめるという取扱いをしていたのである。同否認自体が事実に反する。

さらに被告山中及び事務局は、出資契約上の配当及び返金を、出資者が原告黒川との関係を絶つことの見返りとして提示するに至った。

すなわち事務局は、2026年7月2日15時13分、選定者澁谷に対し、次のとおり述べた。

貴殿におかれましては、黒川のLINEグループにご参加されているとのことで、集めた出資金の身勝手な使用について承認する、という認識でよろしいでしょうか?もし承認されていた場合、不法行為を黙認した形となります。

よって、配当、配当報告書、返金等の対応について、今後は黒川より直接お受け取りいただく形となりますので、ご確認いただけますと幸いです。

つきましては、黒川のLINEグループを退会いただき、そのスクリーンショット等をご提供いただけましたら、以降の配当および返金手続きにつきましては、従来通り山中および事務局にて通常通り対応させていただきます。

すなわち被告らは、出資者に対し、(1)原告黒川が開設したLINEグループを退会すること、及び(2)退会したことを証するスクリーンショットを提出することを求め、これに応じた場合に限り、従来どおり配当及び返金を行う旨を明示したのである。

出資者が有する配当請求権及び払戻請求権は、社員権取得契約及び定款に基づくものである。その行使が、当該出資者が何人と交際し、いかなる情報に接するかによって左右されるいわれはない。被告らは、契約にも定款にも根拠を有しない条件を一方的に付したうえ、これに従わない出資者に対しては契約上の債務を履行しない旨を通告したものである。

これは、出資者に対し、義務のないことを行わせるため、その財産上の利益に害を加える旨を告知したものであって、信義則に反し(民法1条2項)、権利の濫用に当たる(同条3項)とともに、出資者の権利行使を妨げる不法行為(民法709条)を構成する。同時に、被告らが返金及び配当を、契約上の義務としてではなく自らの裁量による恩恵として取り扱っていたことを端的に示すものであって、前記の恣意的な選別の実態を裏付ける。

選定者澁谷は、同日17時19分、直ちに次のとおり回答してこれを拒絶した。

民間の一組織に過ぎない貴局が、契約上の正当な義務(配当・返金)を人質に取り、出資者に対して特定のグループからの退会を強要し、さらにその証拠のスクリーンショットの提出を求める行為は、個人の自由意志に対する不当な介入であり、プライバシーおよび通信の秘密を著しく侵害する暴挙です。

なお、被告らはこれに先立つ同月1日16時0分、「投資ブラザーズ社員各位 事務局よりお知らせ」と題する電子メールを出資者らに一斉に送信しており、前記7月2日のメールは「再度申し上げますが」との文言をもって始まっている。同種の働きかけが出資者一般に対して行われていたことがうかがわれる。

【第3章】出資金の返還請求

15 法的構成

主位的請求は、会社法597条(業務執行社員の悪意・重過失による第三者に対する責任)、会社法596条(任務懈怠による損害賠償)、同法593条(善管注意義務・忠実義務)、民法709条(会社資金の私的費消・浪費による不法行為)及び会社法595条(利益相反取引につき承認を欠くこと)に基づく損害賠償請求である。

予備的請求は、定款17条の払戻請求及び会社法611条に基づく請求である。

16 定款17条4項ないし6項の猶予条項について

本会社の定款17条4項ないし6項は、払戻しにつき一定の猶予を認める条項を置く。被告らは既に、事務局の2026年7月28日付メールにおいて同条項の援用を予告している。しかし、次のとおり、同条項は本件請求を妨げない。

  1. 主位的請求は民法709条並びに会社法596条及び597条に基づく損害賠償であり、会社と社員の関係を定める定款の猶予条項は、業務執行社員個人の不法行為責任及び第三者責任には及ばない。
  2. 猶予条項は、会社が誠実に業務を執行していることを当然の前提とする。前記8ないし11のとおり被告山中が会計を開示しないまま契約書もなく資金を移動させ、前記14のとおり恣意的・偏頗的に返金を選別している本件において、同条項を援用することは信義則に反し、権利の濫用(民法1条2項・3項)として許されない。
  3. 仮に猶予条項の援用が認められるとしても、それは支払時期を猶予するにとどまり、債務の存在自体を左右しない。したがって将来給付の訴えの利益は失われない。
  4. なお、本会社が出資者に交付する重要事項等説明書(選定者雨森一朗に交付されたもの)は、払戻しにつき「各社員は、払戻を希望する日の属する月の月末の半年前までに、書面または電磁的記録をもって払戻しの依頼をすることにより、払戻を請求した日から6か月後の月末において、定款第17条の払戻方法の定めに従い、退社した上で、手数料を差し引いた出資額を金銭にて受領することができます」と定める。
    しかしながら被告らは、現に、選定者澁谷に対しては2026年7月21日11時29分に「ご返金をご希望とのことで、承知いたしました。返金は2カ月後の末日となります」と回答し、選定者服部に対しては同月14日に「解約のご申請自体はお受けすることは可能でございますが、返金時期は原則として申請から2か月後の末日となります」と回答している。すなわち被告ら自身が、払戻しの履行期を「申請から2か月後の末日」とする旨を、書面をもって明確に表示したのである。いまさら6か月の定めを援用することは、自らの言動と矛盾するものであって、信義則上許されない(民法1条2項)。
    のみならず、主位的請求は業務執行社員の責任及び不法行為に基づく損害賠償であるから、前記(1)のとおり、払戻期間に関する定めはこれを左右しない。

なお、選定者澁谷は2026年7月19日付のメールにおいて、定款所定の解約手数料2万円を差し引いた28万円の返金を求めている。しかし本訴における請求は前記15の主位的構成(損害賠償)によるものであるから、同手数料の控除を受けない。よって同人の請求額は30万円である。

17 選定者雨森一朗に関する特則(覚書の無効及び取消)

被告山中は、2026年2月28日、選定者雨森一朗との間で前記12の覚書(以下「本件覚書」という。)を締結した。その要旨は次のとおりである。

第2条 被告山中は、雨森の本会社に対する出資額を自己個人の債務として全額引き受け、これにより雨森の会社に対する出資権は消滅し、被告山中に対する債権として存続する。

第3条 初回返済は締結日から1か月以内に元本の20パーセント、残元本80パーセントは3年以内に全額返済。利息は残元本×15パーセント×当月日数/365日。遅延損害金は年20パーセント。

第4条及び第5条第1項 乙は会社に対する一切の請求権を放棄する。

第5条第2項 乙は刑事手続の申出を行わない。

第7条及び第10条 秘密保持義務。違反1回あたり300万円の違約金。

第8条 法令により開示を求められた場合に限り、裁判所又は行政機関に開示できる。

  1. 本件覚書は雨森を著しく不利益な地位に置くものである。すなわち、出資者としての地位を失わせたうえ、返済の期限を締結日から3年後まで先延ばしにし、刑事手続の申出を禁じ、さらに秘密保持義務と1回300万円の違約金を課したうえで裁判所への開示を限定している。しかも被告山中は、訴訟を示唆した出資者に対しては全額の返金に応じながら、覚書に署名した出資者に対しては元本の20パーセントにとどめるという差別的取扱いをしていた。
  2. 本件覚書第5条第2項は、前記12のとおり公序良俗に反し無効である(民法90条)。
  3. 本件覚書第7条及び第10条も、前記12のとおり公序良俗に反し無効である(民法90条)。
  4. 本件覚書第4条及び第5条第1項は、被告山中が返済を履行しないまま会社への請求権のみを失わせる結果となり、消費者契約法10条又は民法90条により無効である。
  5. 仮に前記各条項が無効でないとしても、被告山中は、雨森に署名を求めるに際し、訴訟を示唆した他の出資者に対しては全額の返金に応じていた事実を告げなかった。雨森は、他の出資者と同等の取扱いを受けられるものと誤認して署名したものであって、これは消費者契約法4条2項(不利益事実の不告知)に当たる。よって雨森は、本書面をもって本件覚書に係る意思表示を取り消す。

なお被告山中は、2026年7月9日付の事務局メールにおいて、「締結日から1ヶ月以内に元金の20%をお支払い」「残元金につきましては、3年以内に全額返済」との覚書の内容を挙げたうえ、「現在、3年が経過しておりませんので、返済遅延は発生しておりません」と述べている。すなわち被告山中は、本件覚書第3条の3年の期限を援用して支払を拒絶する意思を、既に明示しているのである。あわせて同メールは「本覚書により、投資ブラザーズ合同会社に対する請求を放棄いただき、山中個人に対する債権のみを有する契約となっております」とも述べ、第4条及び第5条第1項をも援用している。

  1. 仮に本件覚書が有効であり、かつ被告山中の主張するとおり残元本の返済期限が未到来であるとしても、次のとおり、被告山中は既に債務不履行に陥っている。

    ア 本件覚書第3条は、残元本の返済とは別に、利息(残元本×15%×当月日数/365日)の支払を定めている。これは3年の期限とは別個の債務であって、残元本の期限が未到来であることは、利息の支払義務を左右しない。しかるに被告山中は、2026年6月分以降の利息を支払っていない。それ自体が債務不履行である。

    イ 被告山中は、本件覚書の締結後、元金111,111円及び利息の毎月払いを継続的に履行し、本会社の事務局は毎月「ご返済のお振込み」として内訳及び残元金を報告していた。すなわち毎月の分割返済が、両当事者間において確立した履行方法となっていたのである。

    ウ しかも本会社の事務局は、2026年7月4日付メールにおいて「入金の準備は出来ておりますが」と明記したうえで、支払を留保する旨を述べている。6月分の支払義務が存在しないのであれば、「入金の準備」も「留保」もあり得ない。被告山中ら自身が支払義務の存在を自認していたものである。

    エ しかるに被告山中は、その後になって「3年が経過していないから返済遅延は発生していない」との主張に転じた。これは自己の従前の言動と矛盾する主張であって、信義則上許されない(民法1条2項)。

  2. 以上により、本件覚書は無効であり、又は取り消されたから、雨森と本会社との間の出資関係は当初のまま存続する。したがって雨森の請求は、他の原告及び選定者と同じく前記15の各構成による。この場合、本件覚書第3条の3年の期限は雨森を拘束しない。仮に本件覚書が有効であるとしても、前記(6)のとおり被告山中は既に債務不履行に陥っており、又は少なくとも2029年2月28日限り残元本を返還すべき義務を負う。

18 将来給付の請求(原告外山並びに選定者澁谷及び服部)

原告外山並びに選定者澁谷及び服部については、契約上の返金期日(2026年9月30日。返金申請から2か月後の末日)が本訴提起時にはなお到来していない。しかし、次の各事情によれば、期日が到来しても任意の履行がされないことが明らかである。

  1. 被告山中及び事務局は、既に明示的に返金を拒絶し、又は「返金可能な現金が不足している」旨を自認している(前記14)。
  2. 被告らは出資者ごとに恣意的に返金を選別しており(前記14)、期日到来を待つことは、その間の財産散逸(前記13)により回収不能を招く。
  3. 被告らは既に定款17条の猶予条項の援用を予告しており、期日到来後もなお争うことが確実である。

よって、あらかじめ請求をする必要がある(民事訴訟法135条)。

19 損害(出資金関係)

各原告及び選定者の損害は、未返還の出資元本及び未払配当であり、その内訳は別紙請求債権目録記載のとおりである。

なお、本訴提起時において書証として提出するのは、甲第1号証ないし甲第20号証であり、甲第21号証ないし甲第25号証は追って提出する。もっとも、本会社の定款は出資者に共通のものであり(甲第1号証)、社員権取得契約書及び重要事項等説明書もいずれも共通の書式によるものであり、また出資金の振込先口座も共通であるから、契約関係の枠組みについては甲第1号証により立証することができる。

19の2 被告山中による3億円の貸付の約束(誓約書)

被告山中は、2024年1月16日、本会社(代表社員 原告黒川)に宛てて誓約書を差し入れ、自ら署名押印した。同誓約書は、本会社が社員から出資の払戻しの請求を受けた場合において、会社法上の制約により払戻しを拒むことができるときは、被告山中が本会社に対し「可及的速やかに」次の条件で貸付を実行する旨を約している。

  1. 元金 金3億円
  2. 利率 年1パーセント
  3. 支払時期 貸付時から10年後に元金と一括
  4. 遅延損害金利率 年1パーセント

さらに同誓約書は、「私は、理由のいかんを問わず、前項の貸付を貴社からの貸付実行依頼日から1ヶ月以内に実行しない場合に限り、貴社に対して違約金として金5億円を支払うことを約束致します」と定めている。

被告山中は、2026年7月9日付の事務局メールにおいて、「事業開始時に『3億円を限度に』とお伝えした件につきましては、合同会社に対する保証のお話であり」と述べ、本会社に対して3億円を限度とする約束をしたこと自体は認めている。

しかるに被告山中は、前記14のとおり本会社に返金の原資が存在しないことを自認しながら、今日に至るまで同誓約書に基づく貸付を実行していない。

原告らは、本会社に対する債権者として、本会社が被告山中に対して有する上記の貸付請求権を代位行使することができる(民法423条、423条の9)。もっとも、当該請求については、本訴の進行に応じ、追って請求を拡張する。

【第4章】名誉毀損・信用毀損

20 責任の転嫁

本会社は、原告黒川の知名度及び社会的信用を基礎として、その支持者ら約60名から総額約4億円の出資を集めた。原告黒川は本会社の共同代表であるが資金管理には関与せず、資金は前記6のとおり被告山中が単独で掌握した。

ところが被告山中側は、返金の遅延や資金の不明について、その責任を原告黒川一人に転嫁し、「黒川が会社資金約3,400万円を私的に流用・使い込んだ」等の事実を摘示する発信を、事務局、媒体(さくらフィナンシャルニュース)及びSNSを通じて継続している。しかもその約3,400万円には、原告黒川と被告山中が共同で決定した選挙費用及び量子コンピュータ事業の費用まで含めて、後から一方的に原告黒川の「使い込み」と断定している。

しかも被告山中は、本会社の公式サイトにおいて、自らを前面に掲げて出資者を募っていた。同サイト(www.toushibros.jp)の2024年9月16日時点の記録によれば、同サイトは「投資ブラザーズ 公式メールマガジン」と題し、次のとおり記載している。

代表の山中は ベンチャー企業経営や、プロの投資家として投資会社を運営しており、新NISA、不動産、インデックス投資、事業投資、M&A、相続対策等、自分達で資産運用を行っております。

山中は 時価総額7兆円HOYA創業家 であり、その山中家が行う資産運用ノウハウもメルマガの中で公開しています。

HOYA創業家の資産も運用するプロの投資家 がどう運用しているか?実際の運用状況も知ることが出来……

すなわち被告山中は、自らを「代表の山中」と表示し、「時価総額7兆円HOYA創業家」「HOYA創業家の資産も運用するプロの投資家」として、その出自と資産運用の実績を前面に掲げていたのである。同サイトに原告黒川の氏名は現れない。

出資者は、原告黒川の支持者であるがゆえに本会社を知り、他方、被告山中が右のとおり自らを表示していたがゆえに、資金の運用を被告山中に委ねて差し支えないものと信じて出資したのである。しかるに被告山中は、返金が滞るや、資金の使途を開示しないまま、その責任を原告黒川一人に転嫁した。

この責任転嫁は、前記7の会計不開示と表裏の関係にある。被告山中は、自らが単独で支配した資金の使途を開示しないまま、その不明の責任を原告黒川に負わせているのである。

さらに被告山中側は、これらの断定を、原告黒川の支持者である出資者らに対して直接メールで送りつけるなどして拡散した。とりわけ、原告黒川のパートナーであり同じく本会社の出資者である原告外山が返金を求めた際には、事務局は「黒川が使い込んだのだから、そこから返してもらえ」旨を回答し、原告黒川の犯罪行為を断定するとともに会社の返金義務を原告黒川に転嫁して返金を拒絶した。

21 各被告の行為(摘示事実)

被告らは、別紙投稿目録記載のとおり、原告黒川について「会社資金を私的に流用・使い込んだ」等、犯罪行為ないし重大な非違行為を行った旨の事実を摘示し、又はこれを不特定多数に拡散した。

  1. 被告山中は、自ら「投資ブラザーズ」名義のXアカウントから直接、原告黒川及び原告外山を誹謗する事実を摘示した(投稿目録1及び2)。とりわけ2026年7月9日の投稿は2万3,000回以上閲覧されている。被告山中は、直接の摘示者(民法709条・710条)であるとともに、他の被告らの発信について使用者責任(同法715条)及び共同不法行為(同法719条)を負う。

    さらに被告山中は、2026年7月1日、「投資ブラザーズ社員各位 事務局よりお知らせ」と題する同一内容の電子メールを、出資者らに宛てて送信した。すなわち選定者雨森に対しては同日13時11分に、選定者澁谷に対しては同日16時0分に、それぞれ送信されている。同メールにおいて被告山中は、次の各事実を摘示した。

    ア 「黒川が勝手に使用した経費は34,291,097円(一部のみ)であり、主にキャバクラおよびブランド品等の贅沢品に充てられたことが確認されています」

    イ 「黒川は、髪を金髪や赤髪に染め、社員に対して暴力や暴言を繰り返すなど、著しく不適切な言動に及びました」

    ウ 「皆様からお預かりした資金を私的欲望のままに使用し、『謝罪したから問題ない』という論理で身勝手な主張を続けております」

    右アは、原告黒川が業務上横領に当たる行為をしたことを、金額を1円の単位まで特定したうえで断定するものである。右イは、原告黒川が社員に対して暴行を反復したことを断定するものであって、これも犯罪行為の摘示にほかならない。いずれも「確認されています」との表現をもって、確定した事実として摘示されている。

    当該メールは、その表題自体が「投資ブラザーズ社員各位」とされているとおり、本会社の出資者ら約60名に宛てて送信されたものであり、公然性に欠けるところはない。現に、同一内容のものが選定者雨森及び同澁谷の双方に、時刻を異にして送信されている。しかも被告山中は、同メールの末尾に「つばさの党 代表 黒川敦彦」と原告黒川の氏名を連記しており、原告黒川自身が名を連ねる本会社の公式の通知であるかのような体裁を採っている。摘示の対象とされた本人の名を差出人として掲げることにより、記載内容の信用性を高めているのであって、その態様は悪質である。

    なお、投稿目録11記載の被告相川の投稿にいう「全部で3,400万使ったらしいな」との記載は、右アの金額と符合する。被告らの摘示が同一の出所に由来することを示す事情である。

    そして重要なことに、被告山中は、同メールに「Q事業経費」と題する明細を自ら添付している。同明細によれば、右アの34,291,097円の内訳は次のとおりである。

    Q事業経費(黒川分8,445,711円、江口分2,270,136円)  10,715,847円
    Q選挙費用  34,291,097円のうち  12,425,250円
    江口氏に対する支払(三菱UFJ口座及びPayPay口座)  11,150,000円
    ―――――――――――――――
    合計  34,291,097円

    右のうち「Q選挙費用」12,425,250円は、被告山中自身が「選挙費用」と明記しているものであって、その内訳も「1/21 千代田 1,000,000」「1/28 今治 1,000,000」「1/30 朝霞 1,000,000」「2/12 千葉(1回目)7,025,250」「2/12 千葉(2回目)2,400,000」と、選挙区ごとに記載されている。政治活動に係る支出であって、キャバクラでもブランド品でもない。全体の36パーセントを占める。

    「江口氏に対する支払」11,150,000円も、口座からの送金として日付ごとに記載され、かつ「上記支払いから北条さんへ3,440,737」との注記が付されている。第三者に対する支払であって、原告黒川の個人的な消費ではない。

    すなわち被告山中は、同一のメールにおいて、自ら添付した明細と正面から矛盾する事実を摘示したのである。34,291,097円が「主にキャバクラおよびブランド品等の贅沢品に充てられた」ものでないことは、被告山中自身が作成した資料自体から明らかである。「確認されています」との断定は、何ら確認に基づくものではない。

    なお、原告外山は本会社の出資者であるが、同メールを受信していない。被告らは、原告黒川のパートナーである原告外山を宛先から除外して、これを他の出資者らに送信したものである。摘示の対象である原告黒川に伝わることを避けようとしたことがうかがわれる。

    なお被告山中は、原告黒川の氏名を差出人として掲げるか否かを、その時々の都合に応じて使い分けている。すなわち、2025年11月24日付の配当報告書送付メール(送信元 [email protected])の末尾には「つばさの党 代表 黒川敦彦」「HOYA創業家・投資家 山中裕」と両名が連記されていた。ところが2025年12月16日付のメールアドレス変更の通知(送信元 [email protected])においては、末尾は「HOYA創業家・投資家 山中裕」のみとされ、原告黒川の氏名は掲げられていない。しかるに前記2026年7月1日及び同月2日の各メール、すなわち原告黒川を非難する内容のメールにおいては、再び「つばさの党 代表 黒川敦彦」が差出人として連記されているのである。

    通常の業務連絡においては原告黒川の氏名を外しながら、原告黒川を非難する内容のメールにおいてのみこれを掲げるものであって、原告黒川自身が名を連ねる本会社の公式の通知であるかのような外観を作出する意図は明らかである。

    さらに事務局は、選定者服部に対する2026年7月14日付メールにおいて、次のとおり摘示している。

    なお、黒川につきましては、鍋岡氏に対する暴行、背任行為(投資ブラザーズの口座から私的流用を行ったこと)、SNSでの名誉毀損等により、複数の刑事告訴を検討しています。

    これは、原告黒川が暴行罪及び背任罪に該当する行為をしたことを、出資者に対して断定的に告げるものである。被告らは、本訴提起の時点に至るまで、原告黒川に対する告訴を行っていない。

  2. 被告杉田は、実名及び顔写真を用いたアカウントから、投稿目録3ないし8の各投稿を行った。とりわけ2026年7月18日13時52分の投稿(投稿目録3)は、原告黒川が出資者の金銭を私的に流用した旨を断定するものである。同日23時44分の投稿(投稿目録4)は、原告外山を揶揄する文言をその名称に掲げるLINEオープンチャットのリンクを掲載し、公然とこれへの参加を呼びかけたものである。同チャットには現に64名が参加している。同一の日のうちに二段構えで実行された、原告両名に対する組織的な人格攻撃である。

    なお、同チャットのサムネイルに用いられている原告外山の写真は、原告外山が心労により体重を約12キログラム減少させ、アトピー性皮膚炎が悪化していた時期のものである。当該写真に加工は加えられていないが、原告外山の容貌が最も損なわれていた時期の写真を殊更に選び出して用いているのであって、その容貌を揶揄する意図は明らかである。

    同チャットにおいては、現に原告両名に対する名誉毀損及び侮辱が継続的に行われている。すなわち、原告外山を「令和のささやき女将」と揶揄する文言が一貫して名称に用いられているほか、参加者により、次の各投稿がされている。

    ア 原告外山の顔写真を寄生虫の身体に合成した画像。「人の耳元に寄生し、ささやきによって思考を操る寄生虫」「主な症状 特定の人物への異常な執着/批判的思考の低下/現実と妄想の混同/金銭・時間の搾取に気づかない/周囲との孤立」「対策 ……必要に応じて専門医の診察を受けること」等の文言を付し、あわせて原告黒川の顔写真に当該寄生虫が取り憑いた合成画像を並べたものである。原告外山を害虫になぞらえたうえ、原告両名が精神の疾患にあるかのような印象を与えるものであって、極めて悪質である。

    イ 原告外山をカルトの教祖として描き、原告黒川をその代弁者として、信者が拝跪する構図とした合成画像。

    ウ 原告外山がライブ配信を行っていた際の映像から、殊更にその容貌が見苦しく映る一瞬を切り取った静止画に、「無加工」との文言を付したもの。数十分にわたる映像の中から最も見苦しく映る瞬間を選び出したうえ、これを「無加工」と称して公開する行為は、原告外山の容貌を嘲弄する目的以外に説明がつかない。

    エ 原告黒川が「マインドコントロールされていた」、原告外山の「思惑でカルト教団化している」旨の動画の共有。

    これらは、64名が参加する場において行われているものであって、公然性に欠けるところはない。

    なお、同チャットには「管理人bot3.0改」と称する管理者のアカウントが存在し、同アカウントがトークルーム名及びメイン画像を変更した旨が、LINEのシステムメッセージとして記録されている。もっとも、同アカウントの発信者が何人であるかは現時点では明らかでない。この点は、被告らに対する求釈明及び発信者情報の開示により追って明らかにする。

    被告杉田は、少なくとも同チャットの存在を不特定多数に周知し、参加者を誘引した者である。原告外山を揶揄することを名称に掲げる場に対し、公然と人を呼び込む行為は、そこで現に行われている名誉毀損及び侮辱を助長するものであって、民法719条2項により共同行為者とみなされる。

    また、同チャットは現在も存続し、現に管理・更新され続けている。原告らが2026年7月29日に確認した時点の同チャットの名称は「令和のささやき女将外山まきと陰謀エバンススペースを全力応援」であったところ、本訴提起の直前においても、前記管理者アカウントによりトークルーム名及びメイン画像が変更されている。すなわち、同アカウントが午前6時27分にトークルーム名を「虚言癖ぷぅ♡と令和のささやき女将外山まきを全力応援」に、同41分にメイン画像を、同42分にトークルーム名を「日本一の美女シュガーちゃんと令和のささやき女将外山まきを全力応援」に、それぞれ変更した旨が、LINEのシステムメッセージとして記録されている(いずれも2026年8月7日のものである。その根拠は証拠説明書記載のとおり。)。いずれの名称においても、原告外山を「令和のささやき女将」と揶揄する部分は維持されている。すなわち同チャットは放置されているのではなく、原告外山を継続的に標的とし続けているのであって、被告杉田の前記投稿は現在もこれへの誘導として機能し続けている。原告外山に対する侵害は一過性のものではなく現に継続している。

    さらに被告杉田は、自らの投稿を自ら繰り返しリポストすることを常態としている。投稿目録3及び8の各投稿には、いずれもリポストの表示がある。すなわち被告杉田は、一度の投稿にとどめず、同一の投稿を反復して自らのタイムラインに再掲することにより、到達範囲を意図的に拡大しているのであって、その行為は単発的なものではなく、継続的かつ計画的である。

  3. 被告山本は、実名を表示するアカウントから、投稿目録9及び10の各投稿を行い、原告黒川が会社資金を私的に流用した旨及び原告外山が「内縁の妻」としてこれに関与した旨を摘示した。あわせて被告山中及び被告相川の投稿をリポストして拡散した。
  4. 被告相川は、アカウント名「250番」から、投稿目録11ないし14の各投稿を行い、原告黒川を「横領」「ガリ勉詐欺師」「稀代の詐欺師」と断定し、原告外山を「横領の共犯の疑い」と名指しした。

    被告相川は、あわせてYouTubeにおいて、チャンネル名を「250番」とするチャンネルを開設し、自ら顔を出して出演する動画を公開している。同チャンネルの登録者数は2万7,800人である。

    同動画は「つばさの党 外山まきの思惑でカルト教団化している」と題され(2026年6月27日公開。2,817回視聴)、そのサムネイルには「『つばさの党』黒川あつひこはマインドコントロールされていた…」と表示されている。すなわち被告相川は、原告外山が原告黒川を精神的に支配し、つばさの党をカルト教団化させた旨の事実を摘示しているものである。

    同動画の中では、原告外山を光背を負って座す教祖として描き、原告黒川をその傍らで「こうおっしゃっています」と代弁する者として描いた生成画像が用いられ、「教祖外山まき」との字幕が付されている。

    ここで注目すべきは、同動画において用いられている当該生成画像が、前記(2)のオープンチャットにおいて参加者「管理人bot3.0改」が投稿した画像(甲第13号証の3)と同一のものであるという点である。すなわち、被告相川の発信と同チャットとは、単に内容が類似するにとどまらず、同一の素材を共有しているのであって、両者が連動していることが認められる。

    なお同動画は、同チャットにおいても参加者により共有されている(甲第13号証の1)。

  5. 媒体「さくらフィナンシャルニュース」の各記事は、被告らの発信と一体のものである。同媒体は、公式サイト(www.sakurafinancialnews.com)、Xのアカウント(@sakurafina0123)、note及びYouTubeにより、2026年6月以降、原告両名に関する記事を連日かつ多数にわたり発信するに至っている。

    第一に、被告山中は、本会社の資金をもって同媒体の運営費及び人件費を負担している(前記10(5))。すなわち同媒体は、本会社の社員である原告らを攻撃するために、本会社の資金によって運営されているのである。

    第二に、被告杉田、被告山本及び被告相川は、同媒体の記事を自らの投稿に引用し、拡散している。被告山本の2026年7月9日の投稿(投稿目録9)は同媒体の同日付記事を引用し、被告相川の同月4日の投稿(投稿目録11)は同媒体の同年6月22日付記事を引用したものである。

    第三に、同媒体の記事の摘示内容は、被告らの投稿の摘示内容と一致する。同媒体は、原告黒川が「投資ブラザーズの口座から経費で約1070万円を、キャバクラやブランド品や衣服や贅沢な食事、内縁の妻・朝霞市議会議員外山まき氏とデート費用など」に費消したと断定しており、被告らの各投稿と同一の事実を摘示している。

    同媒体の発信は、次のとおり執拗かつ悪質である。

    ア 同媒体は、YouTubeにおいて「つばさの党・黒川あつひこ氏、統合失調症の症状か」と題する動画を公開している(1,104回視聴)。原告黒川が精神の疾患に罹患している旨を摘示するものであって、その社会的評価を著しく低下させる。

    イ 同媒体は、YouTubeにおいて原告外山の顔写真を掲げるに際し、これを他の三名の顔写真と横一列に並べ、各人に肩書を付している。同媒体が付した肩書は、順に「つばさの党代表 黒川あつひこ」「浪川会関係者 ドバイ詐欺師 久積篤史」「朝霞市議会議員 外山まき」「BADGE詐欺被告 オオカミコイン営業部 寺岡彰彦」である。すなわち同媒体は、暴力団の関係者及び詐欺の被告人であると自ら紹介する人物の写真と、現職の地方議会議員である原告外山の写真とを、同一の列に並べて掲示しているのである。原告外山がこれらの者と同類であるとの印象を与えるものであって、その社会的評価を著しく低下させる。なお、原告らは、久積篤史及び寺岡彰彦が実際に暴力団の関係者又は詐欺の被告人であるか否かについて、何ら主張するものではない。また、当該動画の内容についても本訴の争点とはしない。原告らが問題とするのは、同媒体がそのような肩書を自ら付したうえで、原告外山の写真をこれと並べて掲示したという構成それ自体である。

    ウ 同媒体は、Xにおける投稿に際し、原告黒川(@democracymonst)及び原告外山(@ToyamaMaki)を繰り返しメンションしている。メンションを付した投稿は当該利用者に通知されるものであるから、単に発信するにとどまらず、原告らに対して直接送り届ける意図をもってされたものである。

    エ 同媒体は、2026年7月15日の投稿において「#寺岡彰彦BADGE詐欺久積篤史の仲間」とのハッシュタグを付し、原告外山をメンションしている。原告外山を詐欺を行った者の「仲間」として分類するものである。

    オ 同媒体は、2026年6月26日19時51分、noteにおいて「[続報]Q事業(Qコイン)のLINEグループに久積篤史?!と外山まき朝霞市議?!」と題する記事を公開した。同記事は、LINEのトーク画面の画像2枚を「これが証拠の画像だ」として掲げたうえ、原告外山につき「外山氏も参加しており、事業や金銭面に関するやり取りにも発言していた」と摘示している。すなわち、原告外山が久積篤史と同一のグループにおいて金銭に関するやり取りを行っていた旨を摘示するものである。同記事は、その見出し画像において「外山まき 朝霞市議」「Q事業グループLINEに参加していた!」「追及に反対した理由はこれか?」との文言を大書し、あわせて原告外山の顔写真を掲げている。しかしながら、同記事が「証拠の画像」として掲げるものは、複数の異なる資料を組み合わせて作出されたものである。第一に、見出し画像に用いられているLINEの画面は「Q事業グループ(28)」と表示されており、「お金の流れについて隠しておいてください」「了解しました」との文言が読み取れる。ところが、記事本文において「これが証拠の画像だ」として掲げられている画面は「Q経営会議(9)」と表示されている。名称も参加人数も異なる別個のものである。しかも、当該見出し画像の出所は、同記事中に何ら示されていない。原告らは、「Q事業グループ」と称するトークルームの存在を認識しておらず、これに参加したこともない。原告外山が「お金の流れについて隠しておいてください」との趣旨の発言をした事実も存在しない。すなわち被告らは、原告らが関知しない出所不明の画像を、記事の見出しとして最も目につく位置に掲げ、これによって「原告外山が金銭の流れの隠蔽に関与していた」との印象を読者に与えているのである。原告らは、被告らに対し、当該画像の出所及び作成の経緯を明らかにするよう求釈明する。第二に、「Q経営会議」において、久積篤史は一度も発言していない。原告外山の発言も、2025年4月28日の1回のみであり、その内容は、第三者に対する支払額の計算に齟齬がある旨を指摘したものにすぎず、暗号資産にもQコインにも久積にも一切言及していない。しかも同記事は、当該発言のうち支払先である第三者の氏名の部分を塗りつぶして掲載している。第三に、同記事は、当該グループの構成員一覧の画面を掲げるに際し、亀井、原告外山及び久積篤史の3名のみを表示し、その余の構成員の表示を白く塗りつぶして秘匿している。しかるに当該グループには被告山中裕自身が構成員として参加し、現に予算の編成及び人員の配置について自ら指示を発しているのである。同一のグループに存在する被告山中を殊更に隠したうえ、久積篤史と原告外山のみを残して掲示したものであって、単なる引用の不正確にとどまらず、虚偽の外観を積極的に作出するものにほかならない。なお原告らは、当該グループの記録を保全しており、被告らが摘示の真実性を主張する場合には、これを提出して反証する。

    もっとも、同媒体は本件以前から存在する媒体であり、原告らを攻撃する目的のために新たに設けられたものではない。原告らが問題とするのは、同媒体が2026年6月以降に発信するに至った原告らに関する各記事である。すなわち、本会社の資金によって運営される媒体が、本会社の社員である原告らを対象とする記事を集中的に発信し、その内容が被告らの各投稿と一致し、かつ被告らがこれを引用・拡散しているのであって、当該各記事は被告らの発信と一体のものとして評価されるべきである。同媒体の運営主体、並びにその企画及び執筆に被告らがそれぞれどのように関与しているかについては、被告らに対する求釈明及び追って提出する証拠により明らかにする。

22 摘示事実の重要部分が真実でないこと

  1. 被告らが摘示する「原告黒川が会社資金約3,400万円を私的に流用・使い込んだ」旨、とりわけ「主にキャバクラおよびブランド品等の贅沢品に充てられた」旨は、その重要部分が真実でない。前記21(1)のとおり、被告山中自身が作成し出資者らに配布した「Q事業経費」と題する明細によれば、当該34,291,097円の内訳は、Q事業経費10,715,847円、Q選挙費用12,425,250円及び江口氏に対する支払11,150,000円である。うちQ選挙費用12,425,250円は選挙区ごとに計上された政治活動費であり、江口氏に対する支払11,150,000円は第三者に対する送金である。いずれも原告黒川の個人的な消費ではない。摘示の真実性は、被告山中自身の作成に係る資料によって否定される。

    しかも「Q選挙費用」に計上された各支出は、被告山中側において当時から認識されていたものである。すなわち、被告山中が本会社の資金をもって運営費を負担する媒体「さくらフィナンシャルニュース」は、2025年2月12日、原告黒川が千代田区長選挙に立候補する旨を報じている。同明細に「1/21 千代田 1,000,000」として計上されているのは、当該選挙に係る支出である。しかるに同記事において、当該選挙に係る費用が原告黒川による会社資金の私的な流用である旨は、何ら述べられていない。被告らが当該費用を「使い込み」と称するに至ったのは、返金が滞った2026年6月以降のことである。すなわち被告らは、当時から認識していた支出を、1年以上を経た後になって、返金の遅延の責任を転嫁する必要が生じてから、初めて原告黒川の「使い込み」と呼ぶに至ったものである。

  2. 原告黒川は、領収書等を自ら取捨選択することなく、これらを一括して経理担当者に交付し、経費該当性の判断を含めて同担当者に委ねていた。したがって、ある支出が経費として計上・処理されているのであれば、それは会社側(経理担当者)が経費として承認したことを意味し、原告黒川が独断で私的支出を経費に紛れ込ませたものではない。自ら承認・処理した支出を、後になって原告黒川の「使い込み」と断定すること自体が矛盾である。
  3. 被告らは、上記の一環として、本会社の口座の入出金表、領収書及び原告両名の私的写真を無断で公開している。これらはいずれも原告らのプライバシーに属する情報であって、その公開自体が原告らのプライバシーを侵害する。

23 真実と信ずるにつき相当の理由もないこと

被告山中は、2026年7月9日、自ら「投資ブラザーズ」代表として公式の「重要なお知らせとご報告」を投稿し、原告黒川が「私的に不正利用していた」と断定して2万3,000回以上閲覧されるに至らしめた。ところが、その同じ声明の中で「黒川氏本人は不正を否定し」「現在は事実関係の精査を行っております」と述べ、自ら事実が未確認であることを認めている。

すなわち被告山中は、真実であることの確認を経ないまま断定的な摘示を公表したものであって、真実性の抗弁のみならず、相当性の抗弁も成立しない。

24 被告相川と「250番」アカウントの同一性

被告相川のアカウント名は「250番」であり実名表示はないが、次の各事情から、当該アカウントの発信者が被告相川本人であることは容易に同定できる。

  1. 当該Xアカウントのプロフィール写真が被告相川本人の顔写真であること。
  2. 被告相川が、YouTubeにおいてもチャンネル名を「250番」とするチャンネル(登録者数2万7,800人)を開設し、自ら顔を出して出演していること。すなわち被告相川は、複数の媒体にわたり一貫して「250番」の名称を用い、かつ自らの容貌を公開しているのである。
  3. 被告相川が通称「250番」として周知されていること。したがって、発信者情報開示手続を要することなく、被告相川を相手方とすることができる。

25 故意・過失及び共同不法行為

被告杉田、被告山本及び被告相川は、上記摘示が原告らの社会的評価を低下させることを認識し、又は容易に認識し得たのに投稿・拡散した。被告らの各行為は関連共同するものであり、民法719条の共同不法行為を構成する。被告山中は、これらの発信を指示・利用し、又は事業として担わせたものであり、民法715条及び719条により、被告杉田、被告山本及び被告相川と連帯して責任を負う。

26 損害

  1. 原告黒川は、その知名度及び社会的信用によって約4億円もの出資を集め得る経済的信用を有していたところ、被告らの継続的・組織的な「使い込み」等の事実摘示により、社会的評価及び経済的信用を著しく毀損された。被告山中は、原告黒川の信用を利用して資金を集めながら、自らが単独で支配した資金の使途を開示しないまま、返金不能の責任を原告黒川に転嫁し、共同で決定した費用まで原告黒川の「使い込み」と断定して支持者・出資者に流布したものであって、その害意及び悪質性は高い。原告黒川の被った損害は金3億円を下らないが、本訴においては、そのうち一部である金1,000万円の支払を求める。
  2. 原告外山は、現職の朝霞市議会議員でありながら、被告らにより「横領の共犯」と名指しされ、公職者としての社会的評価を毀損された。加えて被告杉田は、原告外山を揶揄する文言を名称に掲げるオープンチャットへの参加を公然と呼びかけ、現に64名が参加するに至っている。同チャットは現在も存続し、その名称及び画像が更新され続けており、被告杉田の投稿は現在もこれへの誘導として機能している。さらに被告杉田は、原告外山を蟲として描いた画像を作成したうえ、これをTシャツにデザインして頒布を呼びかけた。現職の地方議会議員を虫として戯画化してその侮辱を商品として頒布しようとする行為、及び中傷を目的とする常設の場へ公然と人を呼び込む行為は、いずれも一過性の投稿にとどまらない継続的・計画的な人格攻撃であって、その毀損の程度は重大である。原告外山の被った損害は金1,000万円を下らないが、本訴においては、そのうち一部である金300万円の支払を求める。

27 削除請求

原告らは、人格権に基づく妨害排除として、別紙投稿目録記載の各投稿の削除を求める。

【第5章】被告山中に対する送達についての上申

28 被告山中は現在海外に在住し、その住所において送達を受けることに支障がある。よって、被告山中に対する送達は、その就業場所である本会社(投資ブラザーズ合同会社。別紙当事者目録記載の所在地)を送達場所として行われたい(民事訴訟法103条2項)。本人が不在の場合も、補充送達(同法106条)により送達は有効に成立する。就業場所における送達も奏功しないときは、公示送達(同法110条)の申立てを検討する。

被告杉田及び被告山本については別紙当事者目録記載の居所を、被告相川については同目録記載の就業場所を、それぞれ送達場所とされたい。

【第6章】結語

29 よって原告らは、請求の趣旨記載の判決を求める。

なお原告らは、前記7のとおり被告山中が会計を一切開示していないことから、本訴の進行に応じ、会計帳簿その他の資料につき文書提出命令の申立て(民事訴訟法221条)を行う予定である。

第4 証拠方法 ▲ 目次

別紙証拠説明書記載のとおり(甲第1号証ないし甲第25号証)。その余の証拠は追って提出する。

第5 附属書類

1 訴状副本              4通
2 選定書               3通
3 証拠説明書             5通
4 甲第1号証ないし甲第25号証の写し  各5通
参考資料

公開質問状 ― 山中裕氏への12の質問

投資ブラザーズ合同会社 出資者有志より / 宛先:山中裕氏(業務執行社員兼代表社員)

「事業は黒字。年末には8億円が入った。なのに、返ってきたのは2000万円。」

残りは、どこへ消えたのか――。決算は一度もなく、契約書もないまま少数株事業にお金を移動。共同代表の黒川敦彦は、山中グループによって5億〜10億円が使い込まれているのではないかと疑っています。投資ブラザーズの出資者有志が、山中裕氏に12の公開質問を出しました。

これまでの経緯

(1)投資ブラザーズとは何か
投資ブラザーズ合同会社は、黒川敦彦と山中裕氏が立ち上げた投資事業です。黒川の知名度と信用を通じて、その支持者ら約60名から、総額でおよそ4億円の出資が集まりました。出資した人は「社員」という立場になり、会社が行う「少数株事業」などの利益の分配を受け取る、という約束でした。

(2)事業そのものは、利益が出ていた
中心である少数株事業は、実際に利益を上げていたとされています。本来であれば、その利益は出資者に分配され、返金にも充てられるはずのものでした。つまり、「事業がうまくいかなかったから返せない」という話ではありません。

(3)ところが――資金を一人が握り、返ってこなくなった
ところが実際には、会社のお金は山中氏がほぼ一人で管理・運用しており、その会計は出資者に開示されていません。私たちが把握している限り、集めたお金の多くは、契約書もないまま別の会社へ移されたり、他の事業や私的とみられる用途に使われたりした疑いがあります。そして約1年前から、社員への給与や、出資金の返金が、遅れたり止まったりするようになりました。

(4)「お金はある」と言うのに、返ってこない
山中氏の側は、「保有する株式が約14億円ある」「配当は遅れなく行っている」と説明しています。しかし実際には、2025年末に約8億円ものお金が入ったにもかかわらず、約1億円の返金の求めに対して、支払われたのは約2,000万円ほどでした。これまでも、まとまった収入が入るたびに「返金する」と言われながら、先に他のことにお金が使われ、返金はいつも後回しにされてきた、というのが私たちの実感です。加えて、山中氏が会社に対して個人で3億円を保証するという契約がありますが、それも果たされていません。

(5)そして、責任は黒川1人に押し付け
黒川の知名度で集めたお金が返らないなか、山中氏側は、返せない責任を黒川一人に押し付けようとしているように見えます。黒川と山中氏が共同で決めたはずの選挙や量子コンピュータ事業の費用までも「黒川が使い込んだ」と主張し、あたかも黒川のせいで返金できないかのような印象を広めています。さらに山中氏は、海外にいて出資者の問いかけには答えないまま、事務局や関係する媒体を通じて、黒川や外山氏が会社の資金を横領したなどと断定する発信を続けています。私たちは、これを事実に反する中傷だと受け止めています。

(6)これは、どこかで見た構図です
海外にいて、出資者の問いかけに答えず、こちらを攻撃する――この進め方は、かつて暗号資産「Qコイン」で支持者から資金を集めて海外に姿を消したとされる人物たちの動きと、驚くほど似ています。(なお、相手方は、黒川がその人物とQコインについて話している音声を「証拠」として広めています。しかしそれは、事業を始めた初期に共同で打ち合わせをしていた当時のものです。一緒に進めていたのですから、関係があるのは当然で、その後にその人物が資金を持ち逃げした、というのが経緯です。黒川は、過去にこうした人物と組んだこと自体は誤りだったと認め、謝罪しています。)なお、山中氏は「Qコインは黒川の一存で、自分は関与していない」として、責任を黒川に押し付けています。しかし実際には、山中氏自身がQコインへの出資を勧める音声を録音して出資者に届けており、勧誘に使われた出資者の名簿を久積氏に渡したのも山中氏側です。それにもかかわらず、山中グループは「名簿は黒川が渡した」と、事実に反する説明をしています。山中氏もまた、Qコインに深く関わっていたのです(詳しくは質問10)。

(7)だから、私たちは「公開」で問います
私たちは、山中氏を一方的に決めつけたいのではありません。求めているのは、「集めたお金が、どこに、いくら、何に使われたのか」という、出資者であれば当然に知るべき、当たり前の説明です。以下の12の質問は、そのための問いです。

12の質問

  1. 会社の会計を、すべて開示してください(計算書類・総勘定元帳・預金通帳)。
  2. 出資者から集めた約4億円は、いま、どこに、いくらありますか(残高・保管先・運用先)。あわせて、会社を始めてから現在までの、山中グループ全体のお金の流れ(入金・出金)を、事業ごと・会社ごとに示してください。
  3. 2025年末に約8億円あった資金が、2026年6月末には足りなくなりました。この間、何に、いくら使ったのかを、月ごとに示してください。
  4. 投資ブラザーズから「少数株ドットコム」へ、契約書もないままお金を移したのはなぜですか(金額・株の名義・契約の有無)。
  5. Xで公表している保有資産 約14億円(A〜F社)は、本当に保有していて、売却できるのですか(各社の名義・簿価・売却の見込み)。「配当は遅れなく実施」と公表しながら、実際には返金・配当が遅れているのはなぜですか。
  6. 高級車(メルセデス・ベンツなど)を、会社の経費で購入しましたか。購入額・原資(出資者から集めたお金かどうか)・名義・いまの使用者・事業上の必要性を、説明してください。
  7. 特定の女性に対して、会社のお金から、業務の実態に見合わない高額な報酬や、海外(ドバイ)への同行の費用、高級住宅(ブルジュ・ハリファなど)での滞在にかかる費用が、支払われていませんか。その女性が会社のどの業務に、どのように関わっていたのか、そして、これらの支出に事業上どのような必要があったのかを、金額とあわせて説明してください。
  8. 「さくらフィナンシャルニュース」という媒体の運営・維持に、会社のお金をいくら使っていますか。この媒体は、黒川ら(出資者側)を批判・攻撃する記事を数多く出しています。私たちには、山中氏個人の感情に基づく発信のために作られ続けているように見えます。その運営費や人件費が、出資者から集めたお金や会社の資金から支払われていないか、金額とあわせて説明してください。
  9. 出資者への返金よりも先に、新しい事業――「マネー大学」(約5,000万円)、蓄電池事業、ジョージアでの事業、農業事業など――に資金を投じたのは、なぜですか。それぞれの事業にいくら投じたのかと、出資者への返金をいつ・どのように行う計画なのかを、あわせて示してください。
  10. 山中氏は現在、Qコインについて「黒川の一存で行ったことであり、自分は関与していない。道義的な責任を感じている」と説明しています。しかし、次の事実があります。①山中氏自身が、Qコインへの出資を勧め、そのアドバイザーを「信頼できる人物」として紹介する音声を録音しており、それが出資者に届いています。②Qコインの勧誘に使われた出資者の名簿を久積氏に渡したのも、山中氏側です(山中氏が社員に指示して渡させたと、私たちは把握しています)。山中グループは、これを「黒川が渡した」と説明していますが、事実に反します。これらの事実があるにもかかわらず「Qコインに関与していない」とおっしゃるのは、事実に反するのではありませんか。山中氏がQコインにどのように関与していたのかを、説明してください。
    証拠音声:https://storage.googleapis.com/nico-public-477414q4/toshi-brothers/yamanaka-qcoin.html
  11. 年末に8億円あったのに、出資者への返金は約2,000万円だけです。たとえ14億円をすべて売っても、出資者に回るのはごくわずかではありませんか。返金の原資と時期、そして山中氏が約束したとされる3億円の個人保証を、なぜ確保・履行しないのかを説明してください。
  12. 山中氏は、黒川による私的な流用があったとして、約3,400万円という金額を挙げています。しかし、この金額には、山中氏自身が決裁した費用(選挙費用等)まで含まれています。山中氏自身が決裁した支出まで「黒川による横領」と断定して公表することは、黒川に対する名誉毀損に当たると、私たちは考えます。それでもなお黒川が横領したと主張されるのであれば、その根拠となる資料を、費目ごとに示してください。

以上の12点について、山中氏の説明を求めます。これらは、いずれも出資者であれば当然に知る権利のある事柄です。もしこれらの問いに正面から答えられないのであれば、そのこと自体が、いま何が起きているのかを物語っていると、私たちは考えます。

投資ブラザーズ合同会社 出資者有志

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